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陽気なジャニオタでありたい

【回想録】TABU

 

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1月31日早朝 JWも終わり完全なロスに陥ってた頃に入った朗報。
初主演舞台決定という見出しにTLが踊った。
ドイツ人作家シーラッハ氏の「禁忌」世界初舞台化の主演に彼が選ばれたというのだ。

共演に橋爪功大空祐飛、監督は深作健太という圧倒的に「ガチな舞台」。喜びと同時に複雑な気持ちになったことは言うまでもないがそれについて今回は割愛しておく。
ありがたいことにその後少年収にも毎回参加し、ガムパへの2連続出演をしたことやTABUによるメディア露出が多数あったことでめまぐるしく時間が過ぎていった。それは彼にとってもそうであっただろうと予測する。

6月5日 新国立劇場小ホール めでたい初日は生憎の雨 いや大雨。
やや押しての開演。橋爪功演じるビーグラーとの回想シーンから始まる「ティッツィアーノをご存知ですか?」が彼の第一声。その後も少し固く緊張しているのが伝わってくる。
恋人のソフィアと出会うシーンでのやり取りが好きだ。ソフィアを撮りたいと突然言いだすゼバスティアン。
「広告写真はもう撮らない」「どうして?」「辞めたんだ」「どうして!」「キャンペーンガールはいつも微笑んでる 顔は完璧な左右対称 ネックレスは…」と己の撮り続けた広告写真がいかに芸術に反しているかを早口で捲し立てる姿が私の抱く彼自身のイメージとリンクする。

原作の600倍くらいの早さで主人公ゼバスティアンは女性を誘拐・殺害した罪に問われそこから物語が動き出すがそこからは基本的な物語の主軸はビーグラー視点、回想シーンはゼバスティアン視点という白夜行スタイル。
バスティアンの、父と狩りをしに行く回想がこの舞台で一番好きな場面だ。獲物を見つけ父がゼバスティアンに双眼鏡を覗かせ、獲物を仕留めてからの長台詞(原作23ページ) 自らを捕らえられたノロジカと重ねたそれは何度目の観劇でもこの舞台の中で一番引き込まれるシーンだった。

セーニャ・フィンクスとのシーンはゼバスティアンの一番素に近い状態が見られるような気がした。どのシーンでも(ビーグラー視点だからということもあるのかもしれないが)どこか掴みどころが無かったがこのシーンでは彼の一番に人間的な部分が表れていたのではと私は思っている あと顔面に煙を吹きかけられるシーンが色っぽくて単純に好き。

最後の被告人陳述 早口で苦手なカタカナを沢山口に出さなければいけないとわかっていたので私は緊張で両手を握りしめた。多少怪しい所もあったが見事に言い切りホッとした。掌は爪の跡で痛々しい状態になっていた。

舞台が始まる前、雑誌で彼はこの舞台を「人によって捉え方の違う舞台」と言っていた まさにそのとおりで、観るたびに違う感情にさせられた。
観劇した人たちのブログやTwitterを見てこういう考え方もあるんだなと思いを巡らせるのも含めて、この舞台の面白さだった。観劇から随分日があいてしまったこともあるので原作を読み返したあと自分なりの解釈などをいずれ文字に起こすことができたらいいなと思っている。

今回私は東京公演と大千秋楽の仙台公演に入った。
千秋楽というものをここまで強く意識して観劇するのはもしかしたら初めてだったかもしれない。とくにこの舞台は初日から大千秋楽まで一ヶ月の時間がある。その間に彼の演技がどう変わるのか楽しみだった。

一言で表すなら、全くの別物だった。
東京で観ていたゼバスティアンは神経質そうな印象だったが仙台で見た彼はものすごくやわらかく、衝撃的だった。
父と狩りに出掛けるシーンは東京公演よりもずっと気迫が増してその完成度に涙が出た。 声の出し方ひとつをとっても東京公演からの成長は凄まじいものだった。こんなにも変われるものなのかと、同じ舞台の中でこんなにも成長を感じられたことはかつてない。

被告人陳述のシーン。これはもう、東京公演とは180度違うものになっていた。ハキハキ文字を発するのではなく、私達にそれこそ語りかけるように言葉を紡いでいるような印象に変わっていた。どこか儚げに話す彼に私は今までと違ったこの物語の捉え方をまた見つけていた。
この日双眼鏡を使っていなかったので気付かなかったのだが、彼がこの時すでに涙を堪えていたことを後に知る(陳述後に着席した時何度か上を見ていたのは泣きそうだったからだと思うと愛おしい)

カーテンコールで出てきた時にはもう目を真っ赤にして涙をぼろぼろこぼしていた。
終わったことがほっとしたとか、終わってしまう寂しさとか、色々な思いが込み上げたのだろう。
何より、この舞台がどれだけの重さでのしかかってきたのだろうと考えた。
初めての主演舞台が深作健太監督作品、共演に橋爪功というプレッシャーはどれだけのものだったろうか。
考えすぎる彼の性格的にその重圧は人一倍だったのではと思う。
そんな中で見事に主人公を演じきった経験と自負は今後どんな道を歩むことになったとしても間違いなく彼の力になると確信している。

私は真田くんに改めて、心からの拍手を贈りたい。